燃えてしまった。
実家のわたしの部屋には、昔の漫画本が古本屋を開けるほど保存してあったのですよ。宝塚歌劇のプログラムや公演のLPレコードなんかもあったのですよ。
わたしの部屋には、似つかわしくないほど立派な書棚を、就職して初めてのボーナスで買ったのです。
大切な、本や雑誌を2度と失いたくなかったので。
昭和45年以降のコミックスの名作が、かなり残っていました。「ベルばら」は、初版が1セットとあとから読む用に買ったのと、ハードカバーの愛蔵版。
今では、絶版になっている西谷祥子作品はほとんどありました。
私は、祖父の建ててくれた部屋が大好きでした。だから、実家を出て引っ越す時も、部屋はそのままにしてきました。
わたしの部屋は2階にありました。中学生の時に水害に遭って、子どもの頃住んでいた家が壊れかけて、そのまま住んでいては危険だと言われて、3年生の秋に物置小屋を改造した仮説住宅住まいになってしまいました。
受験生の私は、とても勉強する環境ではありませんでした。私の家は大家族だったので、曾祖母と両親は壊れなかった離れに住み、妹と弟は押入れで、寝ていました。6畳一間に5人、祖父母と私は、物置。お風呂もトイレも外で寒くて、受験生の住む家ではありませんでした。
私は祖父に、家を建てるなら2階建てにして欲しいとねだりました。水が押し寄せて来ても非難できるように。
祖父は2階建ての家を建ててくれました。私はその部屋に、宝物を保管する立派な書棚を入れました。大きな書棚は、実家を出るときに部屋から出すことができなくて、私たちのいなくなった2階の部屋の主になりました。
中の物を、持ち出すのも忍びなくて、思い出と一緒に全部置いてきました。
本当は、次に帰った時に、妹が昔見に行って購入してきた「ミー・アンド・マイガール」の87年8月東京公演のプログラムを探して来るつもりでした。まだ研1の天海祐希さんの小さな白黒の写真が載っていたのを思い出したので、実家に帰って見るのを楽しみにしていたのに、皆燃えてしまいました。
水より火のほうが恐ろしかったのですね。
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